毒蜘蛛に遭遇した日
9日目(3月7日)/Canberra
車のトラブル→カー用品を購入
朝、車のエンジンがなかなかかからない。5分くらいトライしてようやく動き出す。いつか本当にエンジンがかからなくなる日が来るのだろうか。ラジエターの調子も悪いようで、水温は相変わらずオーバーヒート寸前まで上がっている。ボンネットを開けて、一通りの点検をする。エンジンオイルが無くなっているのを発見。買ったときは確か満タンだったのに。どこからか漏れているのだろうか。とにかく早く給油しなければならない。K-martでエンジンオイルを買うことにし、電話帳で場所を探そうと、まず電話ボックスを探す。
ニュージーランドと同様、日本に比べて電話ボックスの数が極端に少ない。あったとしても、電話帳は見当たらない。結局、彼女がモールの Informationで電話帳を借りて調べてくれた。Informationの人は、地図でわざわざ場所を示してくれた。一番近いK-martもキャンベラの市街地からは少し離れた所にあるようだ。
わかりにくい道を15分ほど進むと巨大なショッピングセンターが現れた。City centreがそれほど大きくないのもうなずける。町が1つあると言っても過言でないほどの規模だ。K-mart, Coles,Woolworths, Franklins, Grace bros., Toysurusなど何でもある。郵便局やGIO(保険屋)まである。こんな大きなショッピングセンターは日本でも見たことがない。すべての用がここで足りてしまいそうだ。
まず、目的のK-martへ。ニュージーランドのK-martとロゴが少し違う。店の内装もやや異なっている。中にカフェがあるのは以外だった。
カー用品のコーナーへ行き、K-martブランドのエンジンオイルを買う。ついでにAir filterとラジエターキャップも買った。ガソリンタンクの水抜き剤も探したが見つからなかった。
一度車に戻り、1カートン入りのたばこの箱を空にして漏斗をつくり、エンジンオイルを入れる。次に、エアーフィルターとラジエターキャップを変えた。ラジエターキャップはCorona用なのにどうもはまりにくい。強く押し込むと今度は抜けなくなった。苦労しまくって何とかはずす。冷や汗をかいた。古いラジエターキャップはゴムの部分にひびが入っている。日本から持ってきたカーメンテナンスの本には、ゴムの劣化は好ましくないと書いてある。かといって外れなくなるほどきついキャップも使いたくはない。とりあえず当面は古いキャップを使うことにする。
再びモールに戻り、今度はゆっくり観光する。観光地ではないことはよくよく承知しているが、大きなショッピングセンターにはつい時間をとられてしまう。ニュージーランドでの田舎暮らしが長かったせいに違いない。
Food courtでカレーを買って外に出る。湖畔で食事をとる。
再びモールに戻り、夕食の材料を買う。一度ホテルへ戻り、食材をおいて、今度は国会議事堂へ。
オーストラリアの国会議事堂
国会議事堂の地下駐車場に車を停める。駐車場への入庫の時点では一切検問はない。ここに爆弾を仕掛けたらどうなるのだろうかと馬鹿なことを考えながらエレベーターで上る。さすがに中にはいるときは空港のセキュリティシステムのようなゲートをくぐらされる。エントランスホールは大理石でできている。とても立派だ。
日本語のBookletを貰いうろうろしていると、「ツアーが始まるので参加したら。」と声をかけられる。一応最初は一緒に着いていったが、おもしろに欠けたのですぐに抜け出す。下院、上院と順番に見て回る。下院には170人、上院には76人の議員がいるそうだ。オーストラリアは連邦国家なので、ここでは国の基本的政策を決定し、一般的事項はそれぞれの州議会で決められている。
グランドホールを見る。一度に1,000人くらいでパーティができるそうだ。廊下には、歴代オーストラリアの総理大臣の肖像画(銅像)が飾られている。歴史の時間に習ったマグナ・カルタの大憲章の写本写真が置かれていたのには驚いた。世界に3点しか存在しないものだという。
最後にエレベーターで屋上に上がる。外へ出てみると、屋根は緩いスロープとなっており、全面が芝生で覆われている。
都市計画館
もう一度堂内に戻り、見学する。Melbourneでの宿が気にかかったので、何件かのホテルに電話をかけてみる。幸い3月9日の部屋が見つかったので予約する。
国会議事堂から湖を越えた所にある都市計画館へ。道が複雑でわかりにくいが何とか辿り着く。
オーストラリアでもっとも楽しみにしていた場所の1つなのでじっくり見る。キャンベラは、20世紀初頭、アメリカ人設計家Walter Griffinによって計画された世界初の人造都市。当時の総理大臣が、「オーストラリアの首都は世界でもっともすばらしいものでなければならない。」と言い、コンペで設計を募集した。その中の1つがWalterの設計で、その計画に基づき都市がつくられた。建設当時は人口5万人だったが、現在の人口は約
30万人。Walterは人口増加を予想して、町を計画していたということだ。そのためか、現在も都市景観はとても美しい。
都市の中心の国会議事堂は周辺の3つの山のトライアングルの中心上に置かれ、そのトライアングルの中に国の中心施設を配置したこと、オーストラリアの各州都の方向にその州都の名前の通りが延びていること、などに関する説明や展示があり、とても興味深かった。テープによる説明は、日本語だったので細部までとてもよく理解できた。
国会図書館へ行くが、全面営業ではなかったので、さっと見るにとどめ、キャンベラの町を上から眺めるために、都市計画館の説明にあった山の1つ、
Blue mountainの上にそびえるTelecom towerを目指す。
道を間違え、違う場所に行きそうになるが、何とか山の麓まで来る。だんだん天気が怪しくなってきて、頂上まで登った頃には、本格的に雨が降っていた。
Telecom towerに登っても何も見えそうにないので、せっかくだが諦め、下山する。途中のワインディングロードにはカンガルー飛び出し注意の標識がある。
彼女は青い鳥が飛んでいるのを見たらしい。いくら都市だといってもまだまだ自然が多いようだ。
Yarralumla
キャンベラの見所の1つ、世界中の大使館が集まっているYarralumla地区へ向かう。
最初に、アメリカ大使館が目に飛び込んでくる。煉瓦つくりの建物でとても大きい。敷地の周囲が白い柵で覆われている。とてもアメリカ的な感じがする。
Emperor st.で日本の大使館を見つける。建物は普通だったが、庭が日本的で凝っている。
一番印象的なのは中国大使館。敷地がとてつもなく大きく、まるで城のよう。マレーシア大使館は屋根の形が凝っていておもしろい。パプアニューギニア大使館は東南アジアの住宅のようなイメージだ。インドネシア大使館は中に博物館があるそうだ。仏像が階段横に並んでいたのがとても印象的。ニュージーランド大使館はごく普通の形をしていた。
土地があるからか、どの大使館もわりと凝っている。まるで競い合っているかのようにも見える。たまにすれ違う車がオーストラリアでは見かけることが少ないベンツであることが多い。
しかし一番圧倒されたのは、大使館ではなくオウムの群だった。白い体に黄色の鶏冠をつけたオウムが電線にとまっていたり、道に群れていたりした。鳴き声がとてもうるさい。
宿で毒蜘蛛に遭遇
夕食をとり、部屋に戻ると、巨大な蜘蛛が壁にいた。新聞の先に移して窓から捨てようかと思ったが、毒蜘蛛だったら困るので殺虫剤で殺すことにする。ちょうど日本では、オーストラリアに住む毒蜘蛛が発生したと騒ぎになっている。
蠅避けにと前々から買ってあったFry sprayを車から取ってくる。殺虫剤をかける前に記念撮影。珍しいものを写真に収めることができた。フラッシュした瞬間、蜘蛛の動きが固まってしまった。どうやら失明したようだ。
いよいよ殺虫剤で攻撃する。真っ白になるまでかけてもびくともしない。ちょっと新聞でつつこうとすると、一瞬の間に見えないくらいの早さで移動した。新聞に移して外へ出すなんてことをしなくて本当に良かった。もしそんなことをしていたらきっと噛まれていただろう。こんな大きい蜘蛛に噛まれたら無茶苦茶痛いだろう。もし毒蜘蛛だったら大変だ。
あんまりに動きが早いのでどこに行ったのか見失ってしまった。UFOが突然姿を消すように見えるのは、きっとこんな風に凄いスピードで移動するからだろう。それにしても驚くべき蜘蛛だ。
行方不明になっていたの蜘蛛をチェストの下で見つけたのでさらに殺虫剤をかける。よく見ると糸を引いている。この糸が、またとんでもなく伸縮力があり、なかなか切れない。とても蜘蛛の糸とは思えない。弱ってきたので新聞でよく見える所まで誘き出し、さらに殺虫剤をかける。何もそこまで、というくらいに真っ白になるまで殺虫剤をかけようやく成仏してもらう。とても怖い。部屋の他の場所にも生息していたら困るので殺虫剤を全面的に撒く。ニュージーランドは害虫が少ない国で良かった。
外ではBBQをしている人がいるようだ。人の声と共に、まずそうな肉の臭いまで漂ってくる。彼らにとってはおいしそうな匂いなのかもしれないが、我々にとってはほとんど公害に近い。
シャワーを浴びる。古い建物なので、タイルなどがとても凝っている。日本だと文化財になりそうなレベルだ。
ただ、決して綺麗ではなく率直に言えば、シャワーを浴びることも躊躇われるほどのレベルだった。これでもし長年に渡って綺麗に掃除されていたら良かっただろうに。対照的に廊下などはとても綺麗に掃除されている。ちょっとしたホテルのようだ。