ペンギンに会った日
16日目(3月14日)/Melbourne→Philip island
日本食材を購入
5泊したCaravan parkに別れを告げ、Sydneyの免税店でもらった日本語雑誌に出ていた江戸っ子マートという日本食品のスーパーへ行くことにする。場所は前日も行ったSouth
Yarra。Freewayから州道3号線を通り、South Yarraへ入る。迷うことなく目的地に到着。
たくさんの日本食が売られている。セール中のようだ。酢、胡麻、カレー粉などを買う。カレー粉はたった$2だった。ついでに、$1のもみじおろしの粉末を買う。
すぐ近くの、ほんやという日本の本ばかりが置いてある店へ行く。Sydneyの本屋と比べてかなり見劣りする。とは言え、ないよりはましだろう。雑誌、文庫本とも古本が多い。帰国子女の受験に関する本など切実身を感じさせる本も売っている。4ヶ月ほど前のフライーデーが5冊で$5だったので買う。もう日本を離れて約10ヶ月。この間に本では何があったのだろう。一般のニュースは短波放送を通して入ってくるが、いわゆるどうでもいいニュースは我々は全く知らない。何が載っているか気になってしょうがないが、読むのは後でのお楽しみとする。
Como houseというのがやたらガイドブックに載っている。そんなに興味はそそられないが、多少は気になっていたので近くまで行くが、運悪く通り過ぎてしまう。戻れるような道がなかったので通り過ぎる。しかしComoとは響きのいい名前だ。
ペンギンの島・フィリップ島へ
いよいよMelbourneを離れ、次の目的地Philip
islandへ向かう。Philip islandは直線距離にしてMelbourneから南南東へ約80km離れている。Adelaideとは反対方向なのでMelbourneは後日再び通過することになる。
Philip islandはペンギンが来る島として日本でもとても有名。ニュージーランドのOamaruでもペンギンは見たが、ここのは数が多くPenguin
paradeというほど群になっているという。Oamaruでは写真を撮れなかったので今回は必ず、と期待する。
Melbourne市内の道は交通量があったが、郊外へ行くに連れだんだんと車も少なくなっていく。次第に家が少なくなり、羊や牛の姿が目立つようになる。だが、ニュージーランドとは違い、山の色はどこも茶色っぽく、牧場というよりは荒れ地という印象の方が強い。
州道180号線をかなり進んだところで、Wildlife
wonderlandという場所を見つける。世界一大きいミミズがいるようだ。しかし、入場料$7.50は現在の我々にとってはかなり高額なので見るのはやめて、トイレを借りるだけにする。
沸騰したラジエター液を顔にかける
車は、またエンジンオイル不足になっているので補給する。オーバヒート気味になっているのでラジエターキャップを開けてみることにする。キャップを触るとかなり熱い。彼女も一緒に触る。「熱いのでやめたら。」と言うが、少しずつ回せば大丈夫だと思って最初のロックまでを解除する。何事もなかったのでまた徐々に蓋を回そうとすると、突然黒い液体が噴き出す。とっさに後ろへ逃げたが後の祭り。熱湯が顔中に吹きかかった。眼鏡をかけていたので目には少ししか入らなかったが唇、目の横はかなりびしょびしょになった。服も黒くなってしまった。とても熱い。とりあえずキャップを捜して、車に付着した液を拭き取る。そして、トイレへ行き、顔を洗う。必死だったので、顔を拭くのは後回しにしてしまった。水を持ってきて、空っぽになったラジエタータンクへ入れる。勉強不足でとんでもないことをしてしまった。ロックを解除した所までは大丈夫だったので、このままいけると考えてしまったのが甘かった。
大して車は停まっていなかったが、もしかしたら人に見られていたかも、と考えるととても恥ずかしくなり居ても立ってもいられなくなったので、すぐにその場を離れる。昼近かったので近くの公園で食事をとる。弁当を広げると、どこからともなく大きく、黒い蠅が飛んでくる。そしてとても執念深くまとわりつく。
Philip island
再び走り出すと、間もなくPhilip islandへ架かる橋が見える。かなり大きな橋だ。よほど観光に力を入れているのだろう。橋を渡ってすぐの所にVisitor
informationがあったので入る。ペンギンパレードに関する掲示がある。5月は一番ペンギンが少ない時期なのだそうだ。
パレードのチケットが買えるというので今日の分のチケットを買う。島の地図は50cするというので買わない。とても貧乏だ。この程度のお金さえもったいないと思ってしまう。
RACVのTourist park accommodation guideを片手に宿探しを始める。その中の1件へ行くがOfficeの鍵が閉ざされていて人がいる気配もなかったのでそこから少し離れた所にある別の
Caravan parkへ向かう。
ぶっきらぼうなおじさんが出てくる。念のために中を見せてもらう。On site vanは、食器や鍋などがついて$32。まずまず綺麗なので、この場所に決める。荷物を置いて、外へ出る。
コアラ探し
野生のコアラが見られるというKoala reserve centreへ行く。入場料は$4。中へ入れば野生のコアラがいるという。センター内をチラッと覗くが、様子は付近のユーカリ林と変わらない。ガイドブックには、島内なら随所にコアラは生息しているが、確実に見たいのならセンターへ行こう、と書いてある。
コアラだけで$4というのが引っかかったので、センターには入らずに、周辺の道を走って頭上にコアラがいないか探すことにする。
ユーカリの木は結構大きく、上の方はよく見えない。"コアラ観察地点、コアラを探してください"、という看板も見つけたが、コアラは見つからなかった。
夕食
夕食の材料を買いに行く。島内最大の集落、Cowesへ向かう。メインストリートであるThompson ave.には数件の店が並んでいる。その中の1件のスーパーに入る。僻地である割には、物がある。とは言え、やはり鶏肉や魚は少ない。
少ない魚の中から、カスカスになっているHokiを買う。レジの後ろに段ボール箱が置いてあったのでもらう。1日の大部分を過ごす車内の整理には段ボールは重要だ。我々にとっては箪笥のようなものだ。
夕食をつくる。Hokiの焼き魚と、いんげんのバターソテー、ワカメのみそ汁をつくる。ついでに、とキュウリとワカメの酢の物をつくったら、かなり品数が多くなった。
ペンギンを見る
夕食をとった後、Penguin paradeを見ることができるビーチへ向かう。Philip islandは思ったより広い。看板を頼りにしていくと迷わずについたが、それでも30分かかった。目の前に大きなセンタービルが見える。ショッピングセンターを思わせるような大きな駐車場にはたくさんの自家用車と観光バスが停まっている。やはり人気があるのだろう、日本人の団体観光客も大量にいる。これだけの数の日本人観光客を見るのは久しぶりだ。
センター内に入り、パンフレットをもらう。さすがに、日本語のパンフレットが一番減っている。展示物とパンフレットでパレードの予習をする。
3月はペンギンの毛が生え替わる時期なので、17日間も海へ行かずに巣にいるのだそうだ。ペンギンは自分で毛を脱ぐのだろうか。また、この時期は、冬に備えてたくさん餌を食べているのでとても太っているということだ。
人の流れが外の方へ向かっているので、展示を見るのはまた後にして、ビーチへ向かう。
遊歩道を歩いていくと、コンクリートでできた大きなスタンドが見える。たくさんの人がいて、座る余地はない。海に向かって左側のスタンドからよく見えるということなのでそちらへ向かう。立ち見席の一番前の通路横で立ってみることにする。
席を確保して間もなく、2羽のペンギンが海から上がってこようとしている。ペンギンは、ほとんどの場合に置いて、集団で行動している。5匹から10匹程度の群で海岸へ上がってくるのだが、遅れたものがいると、リーダー格と見られるペンギンが後ろを振り向いて、全員が上がってくるまで待っている。我々は
Oamaruで一度この光景を見て知っていたので、どこのペンギンも同じなんだな、くらいに思っていたが、さすがに始めてみる人にはとても印象的な光景のようで、そこらじゅうから、「あーかわいい。」という日本語が聞こえてきた。他の国の言葉よりも1オクターブ近く高い声なので、とてもよく聞こえ、まるで日本人しかいないのではという印象すら受けた。
同じ光景が連続して続くのに少々飽きてきたので、彼女を置いて別の場所へ行ってみる。遊歩道の一部はデッキ状になっており、下部をペンギンが通っていくようだ。デッキの下を覗き込んでいる人がいるので近くまで行くと、ちょうど足下にペンギンがいるではないか。50cmくらいの近さでペンギンを見ることができた。ペンギンの方も慣れきっているようで、こちらがじっと見ていても動こうともしない。Oamaruのペンギンとは対照的だ。
再び、スタンドの方へ戻る。フラッシュ撮影禁止にもかかわらず、時々フラッシュの光が目に映る。おそらく誤って光らせてしまったのだろうが、その度に、「信じられない。」という言葉が聞こえる。我々は、ちゃんとフラッシュが光らないようにして、写真を撮る。Oamaruの時は、ペンギンとの距離が離れていたのでフラッシュ無しでの撮影では1枚もペンギンが写った写真を撮ることができなかったが、今度はかなりの近距離なので期待できそうだ。
やがて人も少なくなってきたのでセンターの方へ戻る。
センター内にはペンギンの巣箱があり、アクリル板越しで巣の中の様子がうかがえる。他にも、ペンギンに関する様々な展示がある。それらを一通り見て、外へ出る。
人家がほとんどないため、帰路は真っ暗で道がどこにあるかすらつかみづらい。日本の夜の暗さとは全く質を異にする。それでも迷うことなく宿へ戻り、就寝する。