熱帯魚と泳いだ日

29日目(3月27日)/Katherine→Darwin

いろいろ不満の多かったOn site vanを離れる。近郊に、Cutta Cutta caveという洞窟があったことをふと思い出す。

最初、彼女は乗り気ではなかったが、一応了解を得て、Cutta Cutta caveへ向かう。ところが途中で9時からのツアーに間に合わないことに気付き、Katherine gorgeへ向かうことにする。
車を走らせ、Gorgeの方へ進む。狭い山道を進んでいく。山の中にぽつんとあるVisitor informationの前に車を止め、中に入る。

Katherine gorge

BarramanttiやRainbow fishが水槽で泳いでいる。エリマキトカゲや変わった鳥などもパネルで紹介されていて、とても興味をそそられる。それらとともにいくつもの Walking trackのコースが紹介されているが残念ながら時間のかかるものばかりだ。ほとんどのものが片道2時間以上で5日間のコースなどもある。我々は時間がないので1番短い1時間のコースを選ぶことにする。
彼女に、受付のお姉さんに「地図をください。」と聞いてもらうが、「地図はなくても大丈夫。印がついているから心配することはない。」と繰り返す。 Ayers rockやKings canyonのように道標があるのだろう。

コースのスタートは、ちょうどVisitor informationの前となっている。最初は、日本の林道のような道を進んでいく。
途中で、さらに細い道へ入る。日本の山道のようだ。次第に道が道らしくなくなってくる。4WDと思われる自動車の走行軌跡も途中で見えなくなる。それでも、最初のLookoutまでは順調に進む。
その後10分ほどたった頃から様子がおかしくなってくる。道標が見当たらない。彼女に、「戻ろうか。」と聞くが、珍しくまだ行きたがっている。大きな岩の間をくぐり抜けたり上ったりする。岩の隙間から水が湧き出ていて、低い方低い方へ水が流れていくのが見える。道と言うよりも、水が少ない川のようだ。次は、Lookoutがあるはずだ。だが、普通に考えればLookoutは高いところにあるはずなのだが、道は確実に下っている。もしや、普段は、水が流れているから、まるで道のように草が無くなっているだけなのではないだろうか。この方向であっているのか心配になる。
さらに下った所で、木から道標らしきものが垂れ下がっているのを見つける。どうやら道はあっているようだ。しかし、道と言うにはほど遠い。それでも、次のマークも見つけることができ、次第に調子が上がっていく。あたりには、磨くと光りそうな、もしかしたら博物館にも展示されていそうな、石がごろごろしている。
草むらをかき分けて進んでいくと、急に道が開け、Lookoutに出る。垂直に切り立った崖の下に濁った緑色をした川が流れている。

流れはとても遅い。川の中央あたりを遊覧船が上っていくのが見える。
それにしても大変な道のりだった。River cruiseの遊覧船に乗れば、苦労をしなくてもすんだのだろうが、$21の料金にはさすがに手が出なかった。
対岸もこちら側と同様、垂直に切り立っており、崖の向こうは、ジャングルで覆われている。緑の大地は遙か遠くまで広がっており、アマゾンを思い起こさせる。「どうせ、船からはあの緑の大地は見えないだろう。」と心の中で叫ぶ。とは言え、船に乗らないと見られないものもあるに違いない。
Lookoutからは道が2手に分かれている。我々の来た道を含めると3本に別れていることになるが、他2本の道は、非常に整備が行き届いているようだ。その一方で、我々の通ってきたところは、道というのも躊躇われるほどひどいものだ。道ではないところを歩いていたのではないかとさえ思ってしまう。
片方の道を歩き、出発点へ進む。最初の方は、砂岩でできた滑りやすい急な階段を下りる。所々手すりにつかまらなければ怖いところもあるが、"自分達は道を歩いている"、というしっかりとした自覚があるからかそう怖くはない。岩場を抜けた後は、再び日本のような林道に出る。
しばらく歩くと、あっという間に、Visitor informationのすぐ横のPicnic areaに到着する。振り返ってみれば、見所は最後のLookoutのみで後はとんでもない道を歩いていただけだ。要するに、逆回りすれば良かったということだ。

弁当をとりに車へ戻る。そして、Visitor informationの浄水器で水をがぶ飲みし、Picnic areaへ戻る。木陰の野外卓に弁当を広げる。前日の残りのカンガルーステーキとちらし寿司をほおばる。カンガルーステーキは、ただ焼いただけで、ソースも何もかけてないのでいまいちだ。しかも、とても柔らかいので生焼けの気がして仕方がない。焼いてからほぼ丸1日経過し、しかも灼熱の車内に放置してあった肉だ。生焼けなら絶対にお腹を壊すだろう。
とは言え、お腹がすいていたのでとにかく食べる。

美しい熱帯の鳥たち

奇妙な鳴き声が聞こえてくる。あたりを見回すと、見たこともないような美しい鳥が時々木々の隙間を飛んでいるのが見える。緑や赤、青い色をした鳥が飛んでいる。そうかと思うと、その中の1羽が我々のすぐ近くの木に止まった。
その鳥は、とても奇妙な姿をしている。頭が妙にでかく首が据わっている。ちょうど、彼女のお気に入りのタオル描かれている鳥とそっくりだ。そして、不思議なことに、我々が近くにいるにもかかわらずいっこうにその場を離れようとしない。そっとカメラを取り出し、さらに近づく。驚かれないようにしながら慎重にカメラを構える。1m位の所まで近づいたところで写真を撮る。とってしまえば、こちらのもの、安心して普通にカメラをしまう。だが、その鳥は微動だにしない。慎重に近づかなくても大丈夫だったようだ。あたりを見回してみると、他にも写真を撮っている人がいる。撮影慣れしているのかもしれない。

巨大カワセミ

周辺をぶらぶら歩いてみる。Picnic areaのすぐ横がカヌーの船着き場となっていて、時折カヌーを出して上流に上っていく人がいる。彼女も、「やってみたい。」と言う。しかし、我々にはうまく漕げないような気がする。
周囲からキーキーという鳴き声が聞こえ始める。よく見るとコウモリがたくさん木にぶら下がっている。3,4羽が縦にくっついていて、磁石にくっつく釘のようにも見える。

Edith fall

今度は、Edith fallへ向かう。このあたりは見所が多い。再び彼女は眠りに入る。疲れているのだろう。そっとしておく。だがこちらもかなり眠い。1人で運転していると特に眠くなる。ちょうど、Edith fallへの入り口と見られる交差点で目を覚ます。交差点のカーブが刺激になったのであろう。そこから約20km、何もない道が続きEdith fallへ。
Edith fall caravan parkの駐車場に車を停め、水着に着替えて泳ぎに行く。エリマキトカゲ注意の看板が出ている。このオーストラリアの動物の看板は、お土産物の定番だ。だが、本当にこのあたりにはエリマキトカゲがいるようだ。運良く遭遇できれば良いが。
滝の方へ向かう。ちょうど前から、4,5人戻ってきた。滝がある池へ行くと、もう誰も人がいない。人がいるのもいるで好ましくないが、誰もいないと何かあったとき危険だ。しかも、水深もかなりありそうだ。泳ぐかどうか真剣に迷う。時間もそれほどない。今日中にDarwinに着かなければまともな宿はない。
「やめよう。」と彼女に告げる。「時間もないし。」と言ってみるが、やはり心の奥底には若干泳ぎたい気持ちもある。だが、ここでトラブルがあったら、と思うと躊躇いが出る。自分1人ではない。彼女もいる。
彼女が、「後悔しないの?」と聞く。やはり、ここで泳がなければ後悔するだろう。水の中では熱帯魚が泳いでいる。夢みたい場所だ。やはり泳いでみたい。

熱帯魚と泳ぐ

「後悔するかも。」と伝え、2人で浅いところを探す。ちょっとした茂みの向こう側に浅瀬があるのを見つける。そこで2人で泳ぐことにする。

水は多少濁ってはいるが、熱帯魚の群が水中メガネ越しに見える。時々からだをつついてくる魚もいる。Redtail rainbowfishをはじめとして、薄いエメラルドグリーンの魚や体長20cmほどの魚も泳いでいる。魚がいそうな流木の陰や水草の中を見ると小さな魚がたくさんいる。水槽の中で泳いでいるようだ。ワニがいてもおかしくない雰囲気だ。 オーストラリアの淡水に住むワニは人は襲わないそうなので少し見てみたいが、実際に泳いでいて遭遇したらきっと怖いだろう。
ガイドブックには、"Edith fallの滝壺まで泳いでいける"、とあったが2人しかいないこの状況ではリスクが大きすぎる。僅か100m程度だが、そこまで行かなくても熱帯魚と泳ぐことができるというだけで十分満足だ。
やがて時間もなくなってきたので名残惜しいが池から上がる。時間は4時近くだ。今日中にDarwinへ向かわなければならない。

Darwinへ

急いで着替えて車に乗り込み出発。また何もない道が続く。太陽がだんだん西に傾き始める。我々はこれまでの2000kmあまり、ずっと北を目指してきた。だから太陽はいつも左だ。途中で時々正面に太陽が来るととても眩しい。
先を急いでいると、Road trainが走っている。すっと追い越しをかけると前もまたRoad train。そしてそのまた前も、Road train。カーブの多いところにかかってしまったので追い越しは非常に怖い。だが、対向車もなく無事に3台を追い越す。
空が青色から紫色に変わっていく。西側を向くと芸術的なオレンジの空がある。間は微妙なグラデーションになっていてとても美しい。遙か向こうに見える木々のシルエットが何ともいえず美しい。Ayers rockで見た夕日と同じだ。
空が、次第に暗くなり始める。カンガルーの飛び出しがあるので夜の走行は危険だ。暗くなればなるほど注意しなければならないのに、逆に急がねばという思いも強くなる。

ダーウィン到着

真っ暗になった頃、Darwinに到着。Caravan parkを探すが、暗いためなかなか見つからない。地図を頼りに、幹線道路沿いのCaravan parkを訪ねるがあいにくOfficeはもう閉まっている。別の場所も訪れたが、やはりOfficeには誰もいない。
仕方がないのでCaravan parkは諦めBack packersを探す。町中の2件のBack packersへ行ってみるが満室とのこと。Youth hostelに電話するとTwin roomが空いているということなので予約する。Check inして時計を見ると時刻は9時。
Kitchenへ行って夕食を作る。貧乏そうな若者が大勢いる。風貌が一般の人とは明らかに異なり何だか異様だ。我々も同一人種なのだろうか。
Darwinはとても蒸し暑い。さすが熱帯だ。夕食はテラス状の庭でとる。ふと見ると庭木にポッサムがいる。誰のものだろうか、歯磨きコップを無邪気に食べようとしている。

水が汚い・蒸し暑い

部屋へ帰って歯を磨こうと思い、蛇口をひねると茶色の水が出てくる。しばらく出していれば透明になるかと思ったが、いつまで経っても汚いまま。歯はトイレで磨き、寝る支度をする。
人口10数万人と対して大きい町ではないが、メインストリートに建っている建物のため、夜もうるさい。しかもエアコンもないのでかなり蒸し暑い。天井で大型ファンが鈍い音を立てて回っているが気休めにもならない。治安のことを考えると、窓を開けっ放しにするというわけにもいかない。よく眠れそうにない。

勉強が苦手なボクの英語日記 ワーホリを終えて

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