迷子になった日
15日目(3月13日)/Melbourne
MelbourneにはたくさんのMarketがあるとガイドブックに書いてあるので、その中の1件、Queen Victoria market(web site)へ行く。
州道50号線を走る。前日徒歩で来て迷子になりそうになったFootscrayを通りかかる。中国語の看板が目立つので立ち寄ることにする。
チャイナタウンのような街
Chinatownと同じくらいの大きさはあろうかという規模だ。意外な場所にこの種の町があることに2人とも驚く。超級市場という看板がやたら目に付く。オセアニアに暮らしているのになぜか中国語まで覚えてしまっている。これはスーパーのことだ。ラーメンや缶詰など長持ちする食品が欲しかったので見て回る。結局建ち並んでいる店のほとんどに入ったような気がする。全体的に中国の食品が多く、韓国の食品などはほとんどない。本場の烏龍茶が売っていたので買ってみる。
車へ戻る途中に中国語の看板がでているモールを見つけたので入る。中には、胡麻団子を売っているパン屋、肉屋、魚屋、中華料理、ベトナム料理のレストラン、大量の中華食品が売られているスーパーがある。魚屋には体調40cmほどあろうかという蟹が売られていた。鋏がとにかく大きくて15cmほどあった。ベトナム料理はとてもおいしいそうだった。昼近かったら誘惑に負けて入っていたかもしれない。
おもしろいところを見たので2人とも満足する。これだから車での旅行はいい。いろんな方法で旅行をしている人がいるが、偶然の発見が多いという点では車旅行の右に出る方法はないだろう。
寄り道の後、目的のQueen Victoria marketに着くが、なぜだかやっていない。仕方がないのでSouth Melbourne marketという所へ行く。こちらは、週に4日しかやっていないが、今日はちょうど営業日。
しかし、道を間違えまくる。曲がろうと思ったら中央分離帯があって曲がれなかったり、曲がらなくても良いところを曲がってしまったりしてかなり時間をかけてしまう。
交通ルールが複雑なのも混乱させる一因だ。Cityには自動車さえも2段階右折しなければならない交差点がある。路面電車との兼ね合いだが、非常に混乱するし、右折車が多いときは左折さえもできなくなる。不思議なルールだ。
メルボルンのマーケット
Marketに着いたのがちょうどお昼時だったので、駐車場で弁当を食べる。中身は前日の夕食の残りのそぼろご飯。
食べて一服した後、中へ入る。Sheepskinの店、刺繍屋、Kitchenwareの専門店、自分で絵付けした皿やマグカップを売っている店など色々な店が入っている。食材ももちろんある。八百屋、肉屋、日本ではお目にかかることのないチーズ屋がある。そしていつもつい目がいってしまう魚屋は2件あったが大したことなかった。
Melbourneの美しい町並みを写真に収めるため町中へ向かう。教会の写真を撮った後、株式市場へ行ってみる。 Sydneyにも株式市場はあるが、Melbourneがオーストラリアの金融の中心なのでこちらの方が活気があるとどこかの本で読んだ覚えがある。しかし、日本のメディアで話題になるのはいつもSydney市場だ。
迷子になってしまう!!
株式市場の近くに車を停め見に行くが、あいにく移転してしまったようだ。今度は、黒川紀章設計のDaimaruの写真を取りに行く。近くの路上に車を停めて写真を取りに行く。すぐに終わることなので彼女には車の中で待っていてしまう。
ささっと写真を撮って車に戻る。ところが停めたはずの車が見当たらない。停めたと思われる場所へ行っても姿がない。勘違いかと思って大丸のまわりを1周してみるがやはり見当たらない。間違いかと思いながら、もう1周と回るがやはりない。その繰り返しで同じ所をぐるぐる回る。だんだん不安になってくる。赤いワゴンが停まっていると走って見に行くが、別の車だ。別の場所へ行って見つからなかった後にその車を見ると、あれだ、と思って走ってしまう。もしかして遠くに停めたのではと思い、Chinatownなど全然関係ないところへ行くがやはり車は見当たらない。ここで見つからなかったらどうなるだろう。きっと今頃心配しているだろう。もしかしたらCaravan
parkに何らかの連絡を入れているかもしれない、けどこの状態では電話番号もわからないし、Caravan parkの名前すらわからない。車をどこかへ移動したのだろうか。いろんなことが頭に浮かぶ。人に聞いてもわかる筈もない。
だんだん探す足も速くなり、いつの間にか大丸のあたりを走り回っていた。交差点近くに停めたというわずかな記憶をもとにとにかく走る。時間はどんどん過ぎる。「すぐ戻ってくる。」と言ったのに30分、40分とどんどん時間が流れる。迷惑をかけたくないという思いがさらに心を焦らせる。なんてことをしてしまったんだろう、と自分にも腹が立つ。もうどうしようもない。しかし自分を助けられる人はこの国に1人もいない。時計は容赦なく時間を刻み続けている。今この瞬間にも時計が進み続けている。本当にどうすればいいのだろうか。どうしようもないとはこのことだ。普段よく言うどうしようもないとは全く質が異なる。これ以上時間が過ぎると彼女も車を動かすのではないだろうか。もうやはり動かしてしまったのだろうか。
いろんな思いを巡らせながら走り回る。車を離れてから1時間を過ぎた頃、向こうの方に赤のCoronaが見えた。対向車線だ。車が走っているにもかかわらず飛び出しそうになる。車の切れ目に反対側へ渡り、渾身の力を込めて車の方へ走る。間違いない。Coronaだ。そして中には彼女が乗っている。
ドアを開けると彼女が座っていた。彼女は怒っているようにも見えた。無理もない。すぐにと言いながら1時間以上待たせてしまったのだから。きっと彼女も同様に心配していたのだろう。とにかく事情を説明し、詫びる。これ以上の迷惑はもうかけることができない。
しかし、車は意外なほど近くにあった。大丸の目の前だった。なぜ見つからなかったのだろう。いずれにせよ、とにかく見つかってよかった。国中、いや大陸上でたった1人の自分を助けてくれる人を失いかけそうになった。とても恐ろしいことだ。本当に、本当に無事で良かった。
メルボルンいろいろ
少し落ち着きを取り戻して後、F1が行われたSt. Kildaの方へ向かう。オーストラリアで数少ない遊園地の1つ、Luna
parkを見つける。この遊園地は全国展開しているが、知る限りでは、オーストラリアにはLuna parkとGoldcoastの2,3以外は、遊園地はないと思う。
入り口に顔の絵が書いてある看板がある。中は静まり返っている。ゲートは閉まっていて全く人気がない。どうやらつぶれたようだ。
St. Kilda
St. Kildaのメインストリートの方へ歩く。全体的に華やかな印象を受ける。ガイドブックにもあったが、ここSt. KildaはMelbourneのケーキキャピタルと呼ばれている。確かにやたらに多くのケーキ屋がある。彼女はとても嬉しそうだ。その彼女が、1つの店でケーキを買う。迷子のお詫びにここは代わりに支払う。店内で食べようと思ったが、そうすると僅かだが場所代をとると言うので外で食べることにする。しかし変わったシステムだ。お持ち帰りが標準の料金で、中で食べると高い、と考えるべきか、それともお持ち帰りが安く、中で食べるのが標準料金と考えるべきか悩むところだ。一般的に高くなると言われると印象が悪く、安くなると言われれば印象が良いものだが、この店の人の場合は、「高くなる。」と言っていた。日本ならば、「外で食べるなら安くしときますよ。」となるのだろう。やはりオーストラリアの人は正直というかサービス業をよく理解していない。
肝心のケーキはなかなかおいしかったようだ。半分くれるというので宿まで持って帰る。食間にこういうものを食べると気持ち悪くなるので、夕食前までは我慢する。
1本裏の通りで、Safewayというスーパーを見つける。ロゴがWoolworthsと非常に似ている。店内の雰囲気も全く同じだ、と言うより違いが感じられない。このスーパーは何なのだろう。
彼女が絵葉書を買った後、たばこを買う。これまでは免税店で買ったたばこで凌いできたが、車のガラスを割られた際に一部盗難されたので予備がもうない。
ニュージーランドで愛飲していたPall Mallはなんだか少しパッケージが違う。もしかしたらフィルター無しかもしれない。店員に聞くが知らないと言う。間違いを覚悟で買ってみると、案の定フィルター無しだった。これでは吸えない。大出費だが仕方ない。しかし、隣国でもたばこはだいぶ違うと言うことには少々驚いた。
South Yarra
St. Kildaを離れ、South Yarraへ向かう。Oceania seafoodという店があるということなので見に行く。日本語のガイドブックにも出ているほどなのできっと相当な大きさなのだろうと2人とも期待を膨らませる。
とてもおしゃれな道が続く。ブティック、カフェ、レストランなどが建ち並んでいる。トラムも走っていて雰囲気がよい。商店街の連続と言えば、 SydneyのParramatta
rd.を思い出すが、雰囲気が全く違う。こちらの方が遙かに洗練されていて若者向きだ。下品さが感じられない。
目的地へ着いたので車を停める。路上駐車をしようと空きを探すがなかなか見つからない。偶然空いた場所を見つけるが、後ろは何とフェラーリ。怖くて停めることができない。彼女に誘導してもらうが、なかなか停めることができない。もたもたしていると、フェラーリのオーナーがやってきて走り去っていった。サングラスをかけたお兄さんだった。どうやったらこんな車を買えるほど金持ちになれるのだろう。
フェラーリがどいたので、後ろまで下がり、難なく車を停める。Oceania seafoodはごく普通の魚屋で、全然大きくもなく、別に目新しいものは何もなかった。あえて言えば刺身が売っていた程度だ。
せっかく車を停めたのでおしゃれなChapel st.を見る。妙に綺麗な建物があったので入る。Village 8という映画館だった。まだ改装中だったがとてもいい感じだった。元は古い工場だそうだが一見そんなことは気づかない。ピカピカだ。古いということはきっと夜中にゴキブリが走り回っているのだろう。そんなことが想像できない想像もできない程綺麗になっている。隣にファッションビルがあり、Country
roadやSports girlなどのオーストラリアブランドの店が見えたが、両方ともよく見ている店なので見ないことにする。
夕食はカレー
宿へ帰り夕食の準備をする。今日も料理は彼女任せとする。カレーをつくってもらう。とてもおいしくできていた。ご飯の炊け具合もばっちりだった。
明日はMelbourneを離れるのでまた旅が始まる。