はじめてOutbackを走った日

22日目(3月20日)/Port Augusta→Coober Pedy→Marla

アウトバックへ走り出す

8時50分、出発する。Caravan parkを出た途端、ブッシュが広がる半砂漠が広がる。国道1号線を行けば、Perthだが、残念ながらそちらへは向かうことができない。国道87号線へ車を走らせる。いよいよ今日から世界の僻地Outbackを走る。どんな所なのだろうか。
国道87号線(Stuart highway)には町がとても少ない。Port Augustaから次の町Pimbaまでは170kmも離れている。

Outbackを地図で見ていると本当に何もない。大部分がAboriginal landとなっている。これは、オーストラリアの先住民アボリジニの居住区で立ち入る際には警察の許可がいる。やはりアボリジニ達は、原始的な自給自足の生活を営んでいるのだろうか。そうでなければ、こんなに何もないところに住むことなどできるはずはない。

地図やガイドブックには、予備の食料や水、ガソリンを十分に用意するようにとしつこく警告されている。我々も気をつけなければならない。予備ガソリン 20l、何日分かのラーメンや缶詰などの予備食料、ペットボトル合計で10l以上の水を持っている。これだけあれば数日は持つだろう。
西の方に頂上が平らな大地のような岩が見える。ガイドブックか何かで彼女が名前を調べてくれた。North tent hillとかBelo hillなどがこのあたりから見えるそうだ。これから目指すAyers Rockもあんな形をしているのだろう。ひょっとしたらAyers rockのような岩はそこら中にあるが、たまたまオーストラリア中央にあるから珍しがられているのではないのだろうか、などとおかしな想像をしながら走る。
前日と同じように、乾いた湖がいくつも見える。やはり乾きかけた部分がピンク色だったり水色だったりしている。なぜなのだろうか。

カンガルー発見

Pimbaの町に近づいた頃、前方に生き物が見える。そのまま走っていくとぴょんぴょんと赤い平原の方に跳んでいった。カンガルーだ。感嘆のあまり、思わず声にならない声を上げる。合計3頭いる。赤い大地に白い体はやけに目立つ。とても足が速い。カンガルーは、高さ2.5m、幅8mもジャンプできるそうだ。とても特徴的な走り方をする。テレビなどで見たのと全く同じ走り方だ。とても興奮した。急だったので写真に撮れなかったのがとても残念だ。
Pimbaの村を通過する。ガソリンスタンドと数件の家、Caravan parkがあるくらいだった。さすがに、Caravan parkだけはどこにでもある。
一瞬だけ人の気配を感じ、また何もない大地を走り出す。まわりに何もないので話すことも次第に限られてくる。日豪プレスを読んで、記事や宣伝を評論して場を盛り上げる。

Emu発見

赤茶けた大地を見ていると、右側をEmuが走っていった。先程のカンガルーよりもさらに声にならない声で叫ぶ。毛はふさふさとしてそうで茶色い。体長はとても大きそうだが走るのが速い。Adelaideの美術館で見た情報と全く同じだ。カンガルーはよく見るそうだがEmuはほとんど見かけないと言う。とても貴重なものを見た。

小さな町で休憩&給油

Glendamboという村に入る。国道から測道が出ており、そこから村に入る。給油のためにガソリンスタンドへ。町と町の間が極端に広がっているので給油はこまめにしなければならない。途中でガス欠にでもなったら大変だ。数時間、いや数日助けを待たなければならないかもしれない。いつものように自分で給油する。
タイヤの空気圧が心配だったので補給する。ニュージーランドやオーストラリアではタイヤの空気は自分で入れることになっている。考えても見れば、ガソリンと違って空気は危険物でも何でもないのでこちらの方が合理的だ。これならガソリンスタンドの人に申し訳なくお願いする必要もない。
ところが、以前も思ったが、圧力の単位がKg/m3ではなくPa(パスカル)になっている。これまでは多少空気圧が低くても問題はなかったが、これからはパンクをしたら大変だ。一歩間違えば飢え死にの可能性もある。彼女に、「パスカルってわかる。」と一応聞いてみるが、文系の彼女にはわかる筈もない。仕方がないのでガレージのおじさんを呼ぶ。こちらの英語があまり通じない。向こうの英語もよくわからない。いわゆる田舎言葉だ。「単位がわからないので空気を入れてくれ。」と頼むと、インジケーターを差し込んだ後、「空気の入れすぎだ。」と言われる。空気を抜いてもらい、一件落着。
誰かが犬と遊んでいる。ペットボトルを投げると、追っかけて飛びつく。そしてそれを加えて持って帰ってくる。なかなか賢い。
車を少し離れた所に停め、昼食をとる。外は蠅がとても多いので、車の中で食べる。何もしていなくても顔や手に蠅が止まるくらいだから恐ろしくて食べ物は広げられない。
卵とじ、大根の煮物がとても美味しい。とてもご飯に合う。彼女がもっと食べたいというので少し分ける。いつもと逆だ。それにしても蠅がやっかいだ。暑いにもかかわらず窓を閉めなくてはならない。一度入ってきた蠅がなかなか出ていかなくて困った。
次の町Coober Pedyまでの道のりを休むことなくひたすら走る。どの方向を見渡しても灌木が広がるのみ。本当に何もない。

Coober Pedy

町に近くに従って、次第に様子が変わってくる。ここCoober Pedyは世界でも有数のオパールの産地。Dangerの看板が見えたかと思うと、大きな機械で赤い砂を掘り上げている。道路脇にはオーストラリアにしては珍しく柵がある。

オパール採掘場

Highwayから少しそれた所にあるCoober Pedyの町へ入る。さすがにオパール採掘で栄えているだけあって賑やかだ。道路脇が赤茶けていて、路肩に草1本も生えていないのが砂漠の町らしい。

Coober Pedyの街中

町はとても乾いているような気がする。そして暑い。ここ、Coober Pedyはとても暑い町で、暑さをしのぐために穴を掘って地下住居を造っていると言う。
Underground museumという博物館は地下にあるということなのでそちらへ行ってみる。
階段を降りていくと、地下にオパールに関する展示がある。オパールは地下数10mの所に層になっているらしく、そこまで垂直に掘り進めて行くらしい。粉々にばらけていることもあれば、塊状にへばりついているものもあるらしい。掘り進める穴が小さい場合もあるので、むやみに近づくと危ない。子供が落ちてしまったこともあるそうだ。

絵はがきを買おうと思ったが、店員が来ない。田舎なのでだろうか、とてものんびりしている。かなり待っていたが来ないので諦める。ここでは、採掘場へのツアーの申し込みも募っているらしい。
外へ出る。砂漠独特の赤茶けた町はやはり印象的だ。町を離れる前に、採掘現場を写真に収める。
次の町、Marlaへ向かう。ここからMarlaまでの約250km、町は1つもない。景色を見ていると人が住むことができないのは納得できるが、この間1つも町がないのはちょっと考えられない。ずーっと時速100km/hで進むので到着予定時刻は5時30分。ちょうどいい時間だ。

時々、とてつもなく大きなロードトレインというトラックが通り過ぎる。

ロードトレイン

ロードトレインは、とてつもなく大きく、追い越しするときやすれ違うときは気を使う、と書いてあったが、想像していたものよりも遙かに大きい。日本で見る1番大きなトラックを2両、あるいは3両編成にしたような感じだ。さすがに追い越すのには時間がかかる。

アウトバックの集落・Marlaに到着

やはり予定通り、5時25分、Marlaの町に到着。まず給油する。ガソリンスタンドといっても、屋根もなく、ただ赤茶けた土の上にスタンドが建っているのみ。写真これがガソリンスタンドか、と言いたくなるような姿だ。目の前のCaravan parkのReceptionで部屋をとる。何も考えていなかったが、ここで満室だと言われたらどうなるのだろうか。これより北で災害があったとしたらみんなここで泊まるしかない。しかもどんどん車は来る。どうなるのだろう。
空き室を尋ねると、$38の部屋に入れられそうになる。「安いのはないの?」と聞くと、Backpacker's roomという$28の部屋があると言うのでそちらにする。支払いは、彼女のクレジットカードを使う。こんな所でもクレジットカードが使えるのだから凄い。
部屋に行くと、キッチンがなかったので$38の部屋に変えてもらうよう言いに行く。だが、$38の部屋にもキッチンはないようだ。
安部屋にもかかわらすクーラーがついている。さすが暑いところだけはある。キッチンがないので、スーパーへ行き、パンを買って缶詰をおかずにして夕食とする。

ガソリンスタンドは何でも屋

スーパーは、ガソリンスタンドのレジ兼Caravan parkのReceptionとなっている。ついでに郵便局にもなっているようだ。つまり、ここ1件だけで何でもやっているということだ。その割には、思ったよりもたくさんのものが売られている。外へ出ると、ガソリンスタンドにロードトレインが停まっていたので写真を撮る。
Caravan parkの草木にはずっと散水器の水がやられている。こうでもしないと枯れてしまうのだろう。だがこの水はどこから来ているのだろうか。そう言えば、この Caravan parkにいる限り、思ったよりも水には困らない。お腹を壊さないか心配なほど不味いが、水道の水も一応飲める。
ユーカリの木には大きな蟻がとまっている。黄色のくちばしをしている。さすがに砂漠へ来ると珍しい生物がいる。そう言えば、サソリもいるそうだが大丈夫だろうか。テントに泊まっていると、朝起きたとき靴の中に潜んでいたりするというから危険だ。
夕食後、家に電話をして、砂漠まで来たことを伝える。外へ出ると、ちょうど夕暮れ時で、夕日がとても美しい。やがて、夕日が落ち星空に変わった。多少ライトが明るいがさすがに星がたくさん見える。

ここは村?

ところでいつも思うが、このあたりの集落は村なのだろうか、町なのだろうか。どちらとも言えないほど小さい。Accommodation guideによれば、人口は243人だそうだ。もっとも、とてもそんなに人が住んでいるようには見えないが。ガソリンスタンドの横にバーとレストランがあるのみだ。
この町は1982年にできたばかりの新しい町のようだ。突然町をつくろうと言って、そんなに簡単に町などできてしまうものなのだろうか。どんな人が住んでいるのだろう。僻地に住むくらいだから、よほどの変わり者か人嫌いなのだろうか。いや、こういうところに住んでいるからこそ、いろいろな人に会うのかもしれない。外国人も意外と多いかもしれない。オーストラリアの人はこんな所に用はないだろう。

勉強が苦手なボクの英語日記 ワーホリを終えて

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