浮浪者にからまれた日
20日目(3月18日)/Adelaide
アウトバックに備えて食材を調達
これから、300kmも町がないというところを走ることになるので、予備の食料品を買い込むことにする。
Adelaideは人口約100万人と、巨大都市というほどでもないがChinatownがある。
保存がきくラーメンなどの食品を買うために、その Chinatownへ行く。
わりと近くに車を停めることができた。
5分ほど歩いてCentre marketへ行く。もう9時30分くらいなのに、なぜか大半の店が閉まっている。特に生鮮食料品を売っている店は全くと言っていいほど開いていない。
香港食料中心というスーパーへ入る。中華食料品店独特の香辛料のにおいが鼻をつく。やはりたくさんの日本食品が売られている。ここまで来ると、日本の食料品への懐かしさが以前よりもさらに増えたようで、ついじっくりと見てしまう。日本食はほとんど毎日食べているので懐かしさは感じないのに、食材の方に懐かしさを感じるというのがとても不思議だ。ふりかけ$2.95など値段の安さにも目を奪われる。我々は、スーパーそのものが好きなのだろう。ここで、長期間保存がきく、缶詰とラーメンを買う。ご飯を柏の葉でくるんで蒸したものが売られており、とても美味しそうだったので昼食用に1つ買う。
インド食品の店へ入る。これまでいくつものアジア食料品店を見てきたが、インド食料品店ははじめてだ。見たこともないようなスパイスや粉末が並んでいる。それらに混ざって、おでこにつけるほくろのようなものが売られていた。珍しい店を見ることが出来た。
開いている魚屋を見つけたので、Perch(白身魚)と鰯を買う。Chinatownの中なのに店員はオーストラリアの人だった。
魚を持って帰る。昼食はPerchとする。さすがに鱗がなかなかとれない。そこら中に鱗をまき散らしながら、何とか全部はぎ取る。かなり時間がかかった。その間に彼女が洗濯へ行ってくれる。
昼食後、再び町へ出る。今度は、まともに観光することにする。
アデレードを観光
駅の近くに車を停める。Adelaideは、とても立派だ。すぐ近くに、SA州の州議事堂が見える。まず、すぐ近くのSouth
Australia museumに入る。
入ってすぐの所に実物大と見られる巨大な恐竜の骨格模型が展示されている。続いて鳥のコーナーへ入る。こちらには、たくさんの種類の鳥の展示がある。ダチョウの次に巨大で、飛ぶことができないEmuや、色鮮やかな鳥の剥製が陳列されている。ペリカンは、前日見たものと同じだった。この博物館は、生物学関連の展示が多いようだ。他にも、変わった魚や鯨の展示があった。
博物館を出た後、観光局があったので立ち寄るが、Caravan parkにあった資料と同じものばかりだったのですぐに外へ出る。
浮浪者にからまれる
博物館近くの公園にはたくさんの浮浪者がたむろしている。SA州は、オーストラリアの他州と比べて産業に乏しく、失業率も高いそうだ。NSW州や、
VIC州には、大きな都市があり企業が多いし、WA州は地下資源に恵まれている。Northern Territoryも地下資源に恵まれており、アジアとの距離も近い。TAS州は農業が盛んである。これらの州に比べると、SA州はどうも見劣りするようだ。空港設備も他州に比べて遅れており、物品の輸出にも問題があるらしい。
そのような理由から、失業者、あるいは浮浪者が増えていくのだろう。Sydneyの免税店でもらった雑誌に書かれていたが、Adelaideの立派な建物も、外観は立派だが実はほとんど誰も入っておらず廃墟になっているそうだ。確かに、ビル掲げられた不動産屋の看板が目に付く。そしてたまに購入される不動産も、アジア人の手に渡っているそうだ。
浮浪者の1人がこちらへ近づいてきて、我々に何か話しかけてくる。最初は愛想笑いを浮かべながら応対していたが、彼女にさわろうとするので不満そうな顔をしたら、頭に来たらしくて、今度はこちらにまとわりついてくる。汚いので、近づきたくもないが、首や肩のあたりをつかんで離そうとしない。足を踏んだとか踏んでないとかで文句を言っているようだ。馬鹿らしくて相手する気にもならないが、歩いても歩いてもついてくる。しまいには、進路をふさがれてしまう。観光局にでも逃げ込もうかと思ったが、ここからは少し離れている。はり倒して逃げるのも悪くないかと思ったが、あたりを見回すと大勢の浮浪者がいる。もし仲間だったとしたら大変なことになる。さすがに、かなりの身の危険を感じ、お金でも取られるかと真剣に心配してしまう。どうなるかと思ったが、全く無視していたらやがて立ち去った。
アデレード市内中心部へ
中心街へ行く。建物が綺麗だ。ChristchurchやAucklandと雰囲気が似ている。
Adelaide Arcadeと呼ばれる通りは歩行者専用となっており、上にはカンガルーとエミューの人形がついている。
Myer centreという建物に入る。内部は、吹き抜けになっている。最上階には天井近くを這うようにして走るジェットコースターがあった。さすがに急な坂などはなく、メルヘンチックな汽車というイメージに近いが、ショッピングセンターの中を走るジェットコースターというのは珍しい。
通りの一角でStreet performerが楽器を弾いている。アジアの人のようで、胡きゅうという中国の楽器で日本の演歌を演奏している。聞き覚えのある歌だが名前を思い出せない。今まで関心を払ったこともなかったような歌だが、10ヶ月近く日本を離れているからか、なぜか感激してしまう。不思議なものでメロディが非常に美しく聞こえる。この10ヶ月間で聞いた日本の歌はといえば、日本から持ってきたカセットテープの歌と、彼女の妹がニュージーランドに来たときに持ってきてくれたテープのみだった。
中心部から少し離れたところにある、St. Peater's Cathedralという教会へ向かう。2本の塔がある町のシンボル的な教会で、ゴシック建築の形は、ChristchurchのCathedralと通じるものがある。中は、天井や十字架などが木でできている。仏壇のようなキリストの箪笥がおいてある。外へ出て、写真を撮ろうとするが、なかなか良いアングルがない。後ずさりしながら、アングルを決める。写真を撮った後、我に返ると、教会からかなり離れたところにいた。
Adelaideは去年までF1グランプリが行われていた場所だ。ここは、公道サーキットとなっていたので、その場所を走ってみる。なぜだかコースが地図上に記載されていたので、地図に従って走る。一部不通区間があったが大部分を走ることができた。直角のカーブが2度続いたり、舗装面が普通の道路と全く変わらなかったりと、とてもサーキットとは思えない道だ。コーナーに黄色や黒のコースの端を示す縁石があるのがとてもサーキットらしい。やたらに隅切りの大きい交差点もある。今年度からはもう F1が行われることはないが、これらはどうなるのだろうか。
Australian geography shopに立ち寄る。この店は、全国チェーンのようで、これまでいろいろな所で見かけてきた。自然、アウトドア関連の書籍、雑貨、日用品などが売られている。こんなテーマを持った店は日本にはまだあまりない。
本を立ち読みして、これから行くOutbackの予習をする。こんなに美しい光景を見ることができるのだろうかと期待すると同時に、横にある蠅避けやビニール性の顔洗いおけなどのサバイバルグッズを見て不安にもなる。
Caravan parkへの帰り道、家具屋、カーペット屋などいろんな店の前を通り過ぎる。1番長く住んでいたChristchurchにはこんなにたくさんの店がなかったので、なんだか羨ましい。1件くらい立ち寄りたいと思ったが結局行かなかった。
夕食を買いに行く。Caravan park近くの小さなスーパーは何も売られていないので、車で走り回ってスーパーを探す。だが、残念ながら大きなスーパーは見つからず、結局同じくらいの大きさの店で買い物をする。
変った鳩
以前から気になっていたが、オーストラリアには変わった鳩がいる。
一見日本の鳩とほとんど同じだが、よく見ると頭に鶏冠が付いている。体も少々スリムでスポーティーだ。普通の鳩ととても似ているだけに、尖った鶏冠がとても気になる。我々の泊まっているOn site vanの前に降り立った所を写真に撮る。