魚と泳いだ日

42日目(4月9日)/Cairns

朝、6時40分起床。幸運にも、空は晴れ渡っている。快晴だ。7時40分にツアーバスが迎えに来るので、それまでに用意を済ませる。
7時50分、予想通り予定より10分ほど遅れてバスが到着。デラックスバスに乗ってWharfへ向かう。さすが高級ツアーだ。バスがとても綺麗だ。
Cairnsの駅の前を通り8時過ぎ、Wharfに着く。出発は9時30分ということだ。まだ、1時間30分もある。他のツアーやバスの運行スケジュールの関係で、早めに連れてこられたのだろう。最初は、港の建物の中で待っていたが、飽き始めたのでNews Agencyへ行って絵はがきや雑誌を見る。Reefの絵はがきがたくさん置かれており、期待が倍増する。New agencyは宝くじ売場を兼ねている。オーストラリアの人は宝くじ好きが多いので次々に人が訪れる。今日は人気のOZ lottoの1等が$5millionらしい。オーストラリアではまだ宝くじは買っていないので、求めることにする。とは言っても、やり方が全くわからないので店の人に教えてもらう。
くじは銀紙で伏せられた数字を6個削り、全ての番号が同じなら1等という具合だ。当たったらどうしよう、住所と銀行口座が必要だ、そんなものをつくっている暇など無い、いっそのこと当たらない方がいいのでは、などと馬鹿なことをいっているとあっという間に9時になる。

グレート・バリア・リーフへ

いよいよ乗船する。たくさんの人が列をなしており混みあっている。隣の船はGreen island行きだ。間違えないように乗る。
さすがにGreen island行きの方は日本人が多い。半分くらいが東洋人の顔だ。一方で我々の乗るシュノーケリングのみのツアーの方はほとんど日本人がいない。シンプルなツアーはやはり人気薄なのだろう。我々もお金があれば、普通の日本人のように豪華なツアーを選べるのだが、何せお金がない。
船に乗り込むと、カメラを持った若い女の人がやってきた。乗船客に"Smile!"と言っては次々に写真を撮っていく。いかにも観光地にありがちな商売だ。さんざん写真を撮って、降船後に法外な値段で売りつけるのだろう。案の定我々にも話しかけてきた。すかさず自分のカメラを取り出し、「カメラは持っているからせっかく写真を撮るならこのカメラで撮って。」と言うと、苦笑いしながらもちゃんと写真を撮ってくれた。だが、その直後、「このカメラでも撮らせて。」と言い半ば強引に写真を撮られた。だが、自分たちのカメラで撮ってもらったので、そんなもの買う必要はない。旅慣れない人はこの写真を買わされることになるのだろう。
9時30分、オーストラリアにしては珍しく定刻通りに船は出発。最初にCairnsの北の町、Palm coveから乗船する客を拾うために北へ向かう。Reefへ行くのはその後だ。揺れはあまり強くない。外のデッキに座って海を眺める。隣は日本人の新婚カップルだ。
間もなく、日本人のツアーガイドがやって来る。20代前半の女の人だ。毎日船に乗っているせいか肌は真っ黒だ。
「ワーホリですか。」と話しかけられる。「ニュージーランドのワーホリビザを持っています。」と返答する。だが、なぜワーホリとばれたのだろう。そんなに貧乏くさい格好をしているのだろうか。少なくとも、ニュージーランド到着直後は、「新婚旅行ですか。」とよく勘違いされていた。そのツアーガイドの女の子も、最初Working holiday visaでオーストラリアに来て、その後Business visaを取ってここに滞在しているそうだ。
ガイドによると、Cairnsは2つの季節があり、片方は雨ばかりで鬱陶しい雨季、一方は乾季だそうだ。Darwinなどと同じだ。オーストラリア北部はだいたい2季の場所が多いようだ。これから乾季が始まるので遊ぶには最高のシーズンになると楽しそうだった。
隣の新婚カップルは体験スキューバーダイビングに挑戦するようだ。先程のガイドから海の中での行動、手話についてのインストラクションを受けている。我々にもお金があれば挑戦するのだが、今の価値観では値段に見合うほどの体験ができるとは思いにくい。シュノーケルを精一杯楽しむこととする。

中に入る。冷房がガンガン効いている。最初は涼しくて気持ちいいと思ったが、あまりにも強く次第に寒くなってくる。ツアーガイドの言うには、酔い止めのためにあえて冷房を効かせてあるのだそうだ。「寒いかもしれないけど、風邪ひかないでくださいね。」と言葉を残して行った。
暖かいと酔いやすいと聞くと、今度は暖かい場所に行けなくなる。寒いのを我慢して室内にとどまる。外に出るのはたばこを吸うときだけにする。
彼女が寒さに耐えられなくなり、外へ出るが冷えきった体はなかなか元に戻らない。風邪があることもあり、いつまでたっても震えていた。

サンゴ礁に囲まれながら、魚と泳ぐ

11時30分頃、目的地であるArlington reefに到着する。船は、ポンツーンと呼ばれる浮島に接岸する。珊瑚礁を壊さないようにデッキが浮島になっているのが特徴だ。
一番乗りしようと我々は真っ先にシュノーケルセットを手に取り海に出ようとする。デッキへ出るともう既に1人、海で泳いでいる。"一番乗りはならなかったか、残念"と思っていたら、それはダイバーの人で安全確認をしている様子だった。"泳いでもよい"という許可の後、客の中では1番に海へ入る。
船が止まっているところの周辺に浮きが張り巡らされ、浮きの外へは行かないでくださいと警告している。ずいぶん子供じみていると思ったが、泳げる範囲は結構広い。また、区画の中にも所々浮くが浮いており、疲れたときには休むことができる。
海は思ったよりも深い。まわりに陸がないので当然だが、深さ3m程ある。所々岩が突起していて浅いところもあるが、珊瑚を傷つけないようにむやみに足を海底につけないようにとガイドから言われていたので注意する。
背が立たないので浮きは便利だ。シュノーケルして疲れると浮きに戻り休み、終えたらまたシュノーケルに戻る、そんなことを繰り返す。
海はやはり若干濁っている。海底まで見通せない場所もある。幸い、魚を見るのには支障はない。綺麗な魚がたくさんいる。だが、大半が小型で体長10cm程度のものばかりだ。30cm以上のものはいないわけではないがかなり少ない。HawaiiのHanauma bayの方が圧倒的に魚の数が多いし、あちらの方が皆大型だ。彼女にそのことを説くが分かってもらえるだろうか。少なくとも、彼女はこのReefにも十分満足しているようだ。
珊瑚の方はどれも綺麗だ。深いところまで潜ると珊瑚の中に大きな口を開けている変わった生き物がいる。手を近づけると、その大きな口をぱっくりと閉じた。きっと魚を捕食しているのだろう。その生き物は岩にぴったりとくっついており、まるで珊瑚の一部のようだ。口に手を入れてみたかったが、相当堅そうなので一度手を噛まれるととれなくなりそうだ。
水中カメラを取り出して、その生き物や珊瑚礁、魚の写真を撮る。

グレートバリアリーフの魚

彼女はどうもシュノーケリングが苦手なようで、長い間潜っていることができないようだ。だが、最初よりは次第に慣れてきているようだ。普段泳ぐときは、鼻から息を吐き出しているので口から息を吐き出すのに抵抗があるようだ。口にくわえる所がゴム臭くて苦手というのもあるらしい。
必死に見ていたら、周りに人がいなくなった。みんな昼食を食べに船に戻っているらしい。我々も昼食を食べに戻ることにする。

昼食は船上バイキング

昼食はバイキングだ。バイキングと言ってもいたってシンプルだ。メインらしきものはChickenとボイルしたエビのみだ。$100以上するツアーにしては貧弱だ。だが、エビは、長い間食べていなかったので懐かしい。こちらではエビは$1/匹もする高価な食材だ。
エビはただボイルしてあるのみなのでおいしいとは言い難いのだが、これを中心に食べる。2人でさらに山盛りのエビを持ってきて皮をむいて食べる。他にフルーツがあったが、とにかくエビを食べまくる。

彼女が行方不明

食後、再び海へ戻る。今度は少し遠くまで行ってみる。一番遠くまで泳いで進む。最初は彼女と一緒に泳いでいたのにいつの間にか隣にいなくなった。泳げる範囲が限られているとは言え、かなり広いので探してもなかなか見つからない。ましてや、コンタクトもメガネもつけていないのでなおさらわかりにくい。心配なのでシュノーケリングそっちのけで探すが一向に見あたらない。ずーっと探していたら、なんと船の上にいた。途中で息苦しくなり、戻ったらしい。一言言ってくれれば1人で行ったのに、おかげで遠くまで行った割には全然楽しめなかった。

グラスボート

再び、しばらく泳いでいるとポンツーンにいた彼女が、今日最後のグラスボトムボートが出ると教えてくれる。あわてて外に出てグラスボートに乗り込む。グラスボトムボートとは名前の通り船底の一部がガラスでできたボートで海中を泳がずに眺めることができるようになっている。乗り込むまでの間、ガイドが船上から魚に餌をやっている。泳いでいるのはカマスのような魚だ。シュノーケリングではほとんど見ることができなかった魚だ。
グラスボートに乗り込む。期待に反して、魚は海の中で見たものばかり。もう終わってしまったが、潜水艦の方では少しは大きな魚が見られただろうに-残念。

再度シュノーケリング

グラスボートから下りた後、急いでReefへ戻る。もう海から上がり始めている人もいる。ほんの少しの時間だが魚を見て楽しむ。先程カマスに餌をやっていた場所へも行く。カマスの大群を見ることができる。お腹がキラキラ光っている。

とうとう人が少なくなり始めた。我々もこの辺りで観念、もう終わりだ。海から上がる。
帰りの船では今日撮影されたビデオが上映される。いつの間に撮影されていたのだろう。2回も我々の姿が現れる。

船酔いと寒さにひたすら耐え帰る

帰りの船もそれほどの揺れはなかったが、疲れとエビの食べ過ぎからか気持ち悪くなる。おまけに行きと同様、酔い止めのために冷房がガンガン効いている。寒さと気持ち悪さにひたすら耐える。
1時間30分でCairnsに戻るが、なかなか降船できない。早く帰りたいのになかなか降ろしてもらえない。
降りたところで、朝写真を撮っていた人が全ての写真をボードに貼り付け売っている。やはり$10もする。「写真はいかがですか。」と聞かれるが、「要らない。」と素っ気なく答える。
たくさんのバスが停まっている。我々の宿、Coconuts caravan park行きのバスを見つけ乗り込む。
いやに遠回りすると思ったら、いくつかのMotelを経由している。我々の宿は、一番最後となる。
シャワーを浴び、少し横になる。珍しく食欲がない。おまけに頭まで痛くなり始める。熱をはかると37.9度もある。やはり冷房は苦手だ。ニュージーランド、オーストラリアを旅行していてはじめて風邪をひいてしまった。午後8時頃遅めの夕食を少しだけとり早めに寝込む。

勉強が苦手なボクの英語日記 ワーホリを終えて

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