車が売れた日
62日目(4月29日)/Sydney
電話が鳴る。車に興味があるという。場所を教え、来てもらうことにする。エンジンからオイルが漏れていたので拭き取って、待っていると、カップルが来た。男の人はドイツ人、女の人はAussieだそうだ。女の人の車が盗まれて車が至急必要なのだそうだ。
まずはボンネットの中を覗く。我々が気付かなかったところからオイルが漏れている。オイル漏れをあっけなく見破られる。続いては試乗するが、さすがに動きがよいわけがない。
男の人はお兄さんと2年かけてオーストラリアを1周したそうだ。ピックアップトラックに荷物を積んで旅をし、夜は車の中で寝ていたそうだ。
我々が2ヶ月弱で旅したというと、驚いた様子だった。だが、我々は、限られた時間ではあったが、ただ足跡を残しただけではなく十分に楽しんだと思う。無論、時間があればそれに越したことはない。
そしてSouth Australiaはフロントガラスにひびが入っていなくて、オイルが十分にあれば車検は通るなど色々な話をする。
宿の前で交渉開始。まず、「我々は困っている。そして君たちも困っている。困ったもの同士だ。」と言う。うなずくしかない。そして、「自分も Travellerだから君たちが高く車を売りたいのはよく分かる、だが時間もそうないのだろう。」と痛いところをついてくる。そして$1000から始めたはずの値段がいつの間にか$400になる。我々も車を売るためだけに時間を費やすのも嫌なので交渉成立とする。
彼女の運転で名義変更のために郵便局へ行く。我々は彼の方の車に乗る。間もなく、彼女が、「車が止まりそうだ。」と言う。やはり慣れていない人はそう思うのだろうか。彼がすぐ前を走ることにする。
彼の車に乗るが、疑って、「変なことはしないだろうな。」と言うと、「売るまでは預かって良いよ。」免許証をくれた。話し方と言い律儀さと言いドイツ人らしい。
この話題から車中で治安についての話となる。ドイツは統一以後、やはり治安が悪化してきているそうだ。そしてオーストラリアの方が治安は良いという。彼は、「日本もCultがテロを起こしたりするからオーストラリアの方がよほど安全だ。」と言う。日本は世界一治安がよい国のはずだったのに、いつの間にかオーストラリアよりも治安に問題があると思われているようだ。
続いて、日本の話をする。彼は、日本へは行ったことはないが、テレビなどを見る限り、日本はドイツと似ているところがあるようだ。同じ工業国だからだろうか。そして、超高層ビルの街並みや新しい車しか走っていないと言うところも似ているようだ。ドイツでは日本と同様古い車は少ないらしい。みんな5,6年で乗り換えてしまうようだ。「Coronaは82年式だがあんな車は見るか?」と聞くと、「まず走っていない。」と言う。
郵便局で名義変更を済ませお金を受け取る。そして、Cityまで連れていってもらい、最後の観光をする。
Cityからは、はじめて電車に乗る。地下鉄の切符を買い電車に乗り込む。電車はシート数を稼ぐために2階建てとなっていているが、帰宅ラッシュのためか座るスペースがない。
電車はHarbour bridgeを渡る。ここからは地上を走る普通の電車となる。Sydney湾を隔てた向こう側の街並みがとても美しい。
St. Ivesの駅に到着。ここでAllenに会う。今日からはまた新しい宿泊客が来るのでその人と駅で待ち合わせしているとのこと。その人と一緒に車に乗り、宿へ戻る。
明日は、早朝4時には宿を出なければならない。Allenが$40で空港まで送ってくれると言う。タクシーでも同じくらいかかるというので送ってもらうことにする。ガイドブックにはただで送ってもらった人の体験談が載っていたのに・・・。ケチな人だ。まあ知っている人に送ってもらった方が変に緊張しなくてもすむ。