ワニを見た日

31日目(3月29日)/Jubiru→Cooinda

8時過ぎに起床。朝から車の点検をする。彼女はまだ寝ている。エンジンオイルの減りを何とか遅めることができないかと思ってボンネットの中をのぞき込むが、よくわからない。やがて彼女が起きてきて朝食を取り始めた。
荷物をどんどん積め、9時30分頃、宿を出る。まず、Visitor informationへ向かう。彼女は車中でガイドブックなどを見る機会も多かったので、Kakaduに対する知識はそれなりにあるようだが、正直言ってこれまでガイドブックを見る機会がほとんどなかったので、何があるかあまり知らない。知っていることといえば、この地でクロコダイルダンディーが撮影されたことと豊かな自然が多いということくらいだろうか。ジャングルのようなところもあるのだろうか。

KakaduのVisitor information

博物館並みの展示でもあるかと思い、期待してVisitor informationへ入るが、大したことはない。やはり目につくのがアボリジニの壁画の展示。一方で、この地域独自の生物が写真とともに解説されている。この地域は、変わった形の花が多いようだ。そして期待は熱帯魚。Rainbow fishやGlass fish等がいるようだ。日本なら熱帯魚屋へでも行かなければ見られない魚だ。
様々な展示の中に、"レンジャーが歩いていると水牛に会い、その鳴き声がとても大きかったので荷物を放り出して逃げた" と書いたパネルがあった。野生の水牛もいるようだ。
気象に関するコーナーへ行く。熱帯雨林だと思っていたが、この周辺の多くの地域は乾季があるのでジャングルなどはないようだ。最も、地形が複雑なため部分的には多雨地域もあるようだが、谷の中など、今回我々が行くことができるコースからは外れているようだ。そうとはいいながらも、雨期は完全に通行止めになってしまう道路も多いようだ。実際雨期の終わりである今も、通行止めの場所は多い。
進んでいくと、Video theatreがあったが、途中からだと入りづらいので、代わりに次のスライドを見る。冷房が効いていて居心地が良かったので、しばらく見ている。湿地、奇岩、変わった鳥など興味をそそられるものが多そうだ。

これからどこを見て回るか検討することにする。見所へのアクセス道路の多くが雨のため通行止めか4WD onlyとなっている。限られた見所の中から、まずMamukuraにあるBird sanctuaryへ行くことにする。
Kakaduは思いのほか広いようだ。国立公園というのでなぜか狭いという先入観を抱いていたが、道路は他の場所と同様、制限速度100km/hでとても国立公園内とは思えない。日本の国立公園はたいがい、制限速度30km/hで曲がりくねった道ばかりだが、さすがオーストラリア、スケールが大きい。

バードウオッチング

彼女は、Bird watchingを楽しみにしている。期待している彼女には悪いが、そんなに鳥がいるとは思えない。駐車場の前に広がる湿地からも鳥は1羽も見えない。
「観察小屋まで行けば鳥が見られるかもしれない。」とせがまれ、未舗装の道を600m近く歩いていく。誰も人がいない静まり返った道を歩いていく。蛍光の青色をした綺麗な蝶がひらひらと飛んでいる。羽の裏は茶色なので、とまると地味な色だが飛んでいるときはとても綺麗だ。他に、体長3~4cm位の羽が茶色で2本黒線が入っているトンボがたくさん飛んでいる。色が綺麗なごくごく小さい鳥も飛んでいるが、木の高いところにとまっているのでじっくりと見ることはできない。
10分ほどで観察小屋に着く。鳥はやはりいない。戻って昼食をとることにする。
Take awayでFish flyとChicken legを買う。相変わらず、ラードのにおいがきつく、油ぎれも悪い。くどいので、ご飯だけは進む。

町の中の木陰でアボリジニらしき人が大勢たむろし、ご飯を食べている。そして、その周りを含め町はとても汚い。スナック菓子の袋や空缶などが散乱している。そのゴミをカラスがつついている。
しかし、僻地にある町の割には、ここには何でも揃っている。銀行やスーパーもしっかり揃っている。観光客など、人が集まるところにはやはり何らかの Communityができるようだ。

Noolangie rock art

午後からは、Noolangie rock artへ行くことにする。
途中から、道の路肩が崩れていたり、穴が空いている箇所が目立つようになる。まだ雨期が終わったばかりだということを示す証拠だ。舗装道路であるにもかかわらず、突然道路の真ん中に水たまりがあったりするので気をつけなければならない。ずっと水に浸かっている状態だと、舗装されていても道路の状態は悪くなるようだ。幸い水たまりがある箇所には事前に警告マークが表示されているので助かる。
所々道路脇に、水深がわかるように目盛りを表示した棒が立っている。例えば、道路が2mも水没してしまったらどのようにして水深を確認しに来るのだろう。船を漕いで来るのだろうか。
彼女は勘違いだろうといいながらも、Visitor informationのパネルにアクセスにシュノーケルが必要と書いてあったような気がするなどと思い出している。「車に乗ってシュノーケルで息をしながら・・・。」なんてことを想像していたようだが、おもしろすぎる。さすがに、これは勘違いに違いない。
なんだかんだ言いながら、Rock artのある場所の駐車場に着く。ツアーのバスや車がたくさん停まっていて観光地らしい。

しばらく歩いて壁画のある場所に着いた頃に、彼女に「カメラは?」と聞くと持ってきていない。持ってくるべきだと思っていたのに、持ってこなくていいと言われたたと勘違いしていたらしい。
壁画を見る。カンガルーの絵や踊る人の絵等の壁画が残っている。
車に戻る。帰りは、少し彼女に車を運転してもらう。「道が荒れているのでゆっくりでいいよ。」といって安心させる。40km/h~60km/hとゆっくりした速度で進んでいく。一度、2速と4速を間違えた以外は、何の問題もなく運転していた。
以下にも熱帯魚がいそうという小川にさしかかったところでいったん車を停める。彼女は車で待っていると言うので1人で降り、橋の上から川を眺める。川は、幅1~2m程度で流れがゆっくりしている。その中に小さな魚が無数泳いでいる。そして看板があり、"ワニに注意。泳がないように。"と"つりはルアーのみ可。餌釣りをしてもワニか、おいしくないナマズしか釣れないのでやめましょう。"という2つの警告がされていた。

車に戻る。運転を交代して、宿をとりにCooindaへ向かう。
Caravan parkにチェックインする。Jubiruとは対照的に、こちらは随分小さな町だ。建物といえば、ガソリンスタンド以外に何もない。もちろん路面は赤土むき出しで舗装などされていない。ガソリンを給油した後、Receptionへ。
疲れているためか、やたら眠い。1番安いキャビンと4時30分からのYellow water river cruiseを予約する。クレジットカードのサインをするときに、Signatureではなく、Autographをくれと言われる。愛嬌のある Aussieだ。だが、我々も英語のサインは、Autographに見えるのだから、彼らにとって漢字がAutographに見えるというのもうなずける。
車をCabinの前へ移動させる。昨日とは異なり、随分なBudget accommodationだ。$15/人では文句も言えない。ベッドは、これまでの中で最も薄く、長さも足りない。荷物を搬入し、一休みした後 Wainmangu Aboriginal cultural centreへ。
Centreは、思いのほか立派だ。しかもエアコンが効いていて涼しい。最初は気候に関する展示。今は、Monsoon気候で4月は川の水位が下がり始め、たまにStormが来るStormy season。5月~9月は乾季、そしてその後は、また雨期に戻るというサイクルで気候が動いているそうだ。
次は、例によってアボリジニに関する展示。今回の展示は、芸術的なものよりも、生活に接したものの展示が多い。中で目に留まったのは、このあたりに生える木を細くした後、赤黄白の色を付けて編んだ座布団のような円座。
次におもしろかったのは、アボリジニが使っている矢の展示。捕獲する動物によって槍の種類がいろいろあるようだ。練習用の槍というのもあった。
ここは、食事の展示も充実している。アボリジニは、Water lilyの根も食べるそうだ。Water lily=レンコン、つまりレンコンも食べるということだ。次の展示で、亀を甲羅からはずし、肉を食べるということを知ったときはさすがにぎょっとした。

Yellow river water cruise

一通りの展示を見た後、4時30分からのYellow river water cruiseに参加するためにCaravan parkへ戻る。ツアーバスはCaravan park前のガソリンスタンドを出発する。
バスが来たので乗り込む。人を満員に乗せ出発する。我々を輸送した後、もう一度戻ってきて、乗れなかった人を運ぶようだ。
バスは、Authorised personnel onlyの道を進む。突然、冠水している道路にさしかかる。運転手はお構いなしに車を進める。どこまでが道路かもわからない道を、水しぶきをあげながらすいすい進んでいく。彼女は心配そうだ。

カメラが壊れる

カメラを取り出し、この珍しい景色を写真を撮ろうとすると、何と動かない。調子が悪くなることが多かったが、まさかこの1番肝心な所で壊れるとは・・・。いつもは、ズームのみOKかズームのみ撮れないのどちらかであることが多いが、今回はどちらも駄目だ。
間もなく、バスは桟橋に到着し、降りる。バスがいったん戻るということを思い出し、彼女のカメラを取りに帰るため、スタッフに「カメラを取りに行きたいのでバスに乗せてくれないか。」と聞くと、「いいよ。」と言ってくれたものの、バスは転回しちょうど進み始めたところだった。道が冠水しているので走って追いかけることもできず呆然となる。ここで、たくさんの水草や熱帯魚を捕ろうと大期待だっただけにショックから立ち直れない。「このクルーズでたくさん写真を撮ろうと思っていたのに。」「もう一度乗りたい。けどお金がない。けどやっぱり乗りたい。」と呟くが、気が紛れるはずなどない。間もなくクルーズが始まったが、もうそれどころではない。何とかカメラを直そうと、軽くカメラを叩いてみるがうんともすんともいわない。彼女は、「写真が撮れないなら、しっかりと目に焼き付けようと真剣にあたりを見ているがこちらはそれどころではない。川には水草や熱帯魚が見える。

奇跡的に、カメラが治る

「フィルムを変えてみたら。」と言われ、フィルムを巻き戻し新しいものと変えてみる。しかし、やはり駄目なものは駄目。諦めきれずにさわっていると、" カシャッ"という音が。何とカメラが直った。生き返ったような気分だ。壊れないように丁寧にカメラを扱いながらいろいろ写真を撮る。他の人には何の写真かわからないだろうが、水の中なども撮る。

熱帯の湖をクルーズ

ガイドが説明をしながら船が進んでいく。いわゆる"ツアー"というのはいつ以来だろうか。このYellow waterは、Jim Jim fallから流れ出た川の最終地点で、乾季には周りは干上がりここだけが湿地として残り、雨期は1番水位が高くなる場所だそうだ。雨期と乾季では水位の差が非常に大きいようだ。

やたら静かな、水面に我々が乗った小型船が波紋を残していく。あたりには、時折鳥が見られる。その鳥をガイドが丁寧に説明していく。最初によく見られたのは、White heron。彼らがいるところには、Buffaloと呼ばれる草が水から顔を出している。水面から上は、1mくらいで細長い葉がまっすぐにのびている。乾季になると、水位が下がりもっと顔を出してくるのだろうか。
つがいのEagleやサーモンピンク色の大きな鳥など日本では絶対に見ることができないような鳥がここではたくさん見ることができる。

そして、ここでの1番の見物はなんといってもワニ。船に乗る前に、どんなに運が悪くても見られないことはないとガイドが言っていた。ところが、普段大きなワニが寝そべっているという岸の近くまで行くが、ワニはいない。その他にも出現率が高いという所へも進んでいくがいっこうに姿は現さない。どうしたんだろうと思っていたら、ようやくワニが登場。説明によると、人も食べる肉食のSaltwater crocodileらしい。最初は頭しか見えなかったが、尾を横に動かしてゆっくりと泳ぎ始めた。ワニは、テリトリー意識が強いらしく、水から上がって水際で休憩するときも、それぞれのワニによって場所が決まっているそうだ。
ワニを見た後、さらに奥へ進んでいき、様々な鳥を見る。写真を撮るのには少しばかり遠い距離なので、もどかしい。

船が衝突

アボリジニ名Jim Jimという鳥に近寄ったとき、あまりにも岸に近づいたため、船が枝に接触した。中の子供はびっくりして逃げ出していた。我々も当然かなり驚いた。日本だったら笑い事では住まない。こっぴどく叱られるだろう。
小型のボートに乗って釣りをしている人の隣を通り抜ける。Barramandi等が釣れるようだ。お金と技術があれば、船1隻でも借りて1日ゆっくりしてみたい。水はそんなに綺麗というわけでもないが、たくさんの熱帯魚がいる。そして、その餌となるミジンコなどもたくさんいそうだ。
彼女は、鳥の方に興味を示しているようだ。彼女にとってここはBird sanctuaryだ。首が長い鳥、色の綺麗な鳥など確かにいろいろな鳥がいる。そして、鳥だけではなく、やたらに動きの早いトンボなど、水際らしい生物がたくさんいる。
カメラの調子が直り、十分に写真が撮れたこともあり、満足して降船する。迎えに来たバスが水の中を走って行くところを写真に撮り宿へ戻る。

夕食

Caravan park内にCook facilityがないので夕食はサンドイッチを食べる。具は、ツナ、パイナップル。ツナの中に塩、コショウ、醤油を混ぜると、くどくてパンが進み美味しい。車の中で十分に温めた水(お湯)を使い、Creamy chicken soupを飲む。彼女は美味しいと言っているが、やはりスープに使うお湯としてはぬるいような気がする。そしてデザートには梨を食べる。

食後、家計簿をつけ、Cairnsまでの道のりの目安となる表をつくる。

勉強が苦手なボクの英語日記 ワーホリを終えて

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